鈴鹿の森の紹介
鈴鹿の森とは

鈴鹿の森は、1,000メートル級の山々が連なる鈴鹿山脈の東近江市側に位置し、鈴鹿山脈から琵琶湖まで流れる一級河川「愛知川」の源流部であり集水域に当たる森を指します。
この森は、日本海側気候と太平洋側気候の両方の要素を含むことや、石灰岩地帯と花崗岩地帯に代表される多様な地質が分布することで、多種多様な動植物が育つ、生物多様性に富んだ地域です。
この多様な自然環境の中で、奥深い歴史文化を育んできました。
鈴鹿の森の多種多様な動植物

日本海側気候と太平洋側気候の両方の要素を含む鈴鹿の森には、冷温帯に生育するブナやミズナラと暖温帯に生育するアカガシ、ヤブツバキ、これらの中間温帯に生育するイヌブナやモミなどが見られ、多様な樹木が森を形成しています。
このような植生の上に、国の天然記念物であるニホンカモシカなどの哺乳類、豊かな森林生態系の指標となるクマタカなどの鳥類、清流を好むイワナをはじめとした魚類などさまざまな生物が生息する、まさに生物の宝庫として多くの人を魅了しています。
鈴鹿の森で息づく「森の文化」

鈴鹿の森の多様で豊かな自然環境を基盤として、先人たちは森の恵みを巧みに生活にいかしてきました。
在来種の無農薬栽培と手摘みで有名な政所茶の生産技術や、全国の木地師を統括した記録が残る木地師の文化、そして山の神や水の神といった自然神への信仰をもとに独自の特徴を持つ祭事や神事は豊かな森の恵みの中で古くから培われてきた文化といえます。
このような森と人とが共生して築き上げた文化を「森の文化」と捉えます。
森里川湖のつながり

「山に降った雨粒の一滴一滴が森にしみわたり、やがて川に集まり下ると、里を潤したのちに湖に注ぎ込む。そして再び蒸発し、雨となって地上に戻ってくる」という水の循環は、皆さんご存じだと思います。
本市には、源流から河口までが市域で完結する愛知川があります。鈴鹿の山々に降った雨は、鈴鹿の森を育て、その小さなしずくが集まり、やがて琵琶湖へと流れ出ます。鈴鹿山脈から流れ出た豊富な水をいかして産業が営まれ、麻織物などの特産品が生み出されました。それを近江商人が全国に広め、地域の発展にも寄与しました。
農業においても盛んに営まれており、湖東平野と呼ばれる県内随一の穀倉地帯に水を供給しています。古くから集落単位で守られてきた水田では、水稲を中心に麦、大豆が盛んに作られ、それぞれが近畿1位の農業産出額を誇ります。
特に、米の食味ランキングで特Aを獲得した「みずかがみ」は東近江地域で県内産の約半分を生産しており、質と量ともに充実していることから「近畿一の米どころ」として地域の食を支えています。
また、愛知川の河口周辺では今も漁業が営まれており、ホンモロコをはじめとした湖の幸を楽しむことができます。

森里川湖のつながりは、我々人間だけでなく動植物にとっても大切な存在です。
例えば、琵琶湖のアユやビワマスなどは、森の養分を含んだ豊かな水が稚魚にとってゆりかごとなることから、産卵のため愛知川をそ上します。
琵琶湖の多様な水産資源を育む上で、鈴鹿の森と愛知川、琵琶湖のつながりは欠かせない存在と言えます。
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企画部森の文化推進課
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