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地元学をはじめよう その2

「記録映画で地元学」 

 記録映画「椿山 焼畑に生きる」上映会と対談

(2006年10月7日(土) 永源寺公民館ホール)
講師:姫田忠義 小貫雅男

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椿山の放出されるエネルギー

小貫:今日は椿山からどう学ぶかということがメインですので、まず感想から入っていきたいと思います。山の可能性についてでしたか、今日はね。それは後の問題にどこまで迫れるかは大問題ですけれども、とりあえずこの『椿山』を見たばかりですので、みなさんと一緒にね、そこから入りたいと思います。

 そうですね、僕は映像についてはど素人で、最近、ごく最近モンゴルに一年間住み込んだ時に撮っただけで、後は今あそこの鈴鹿山中の犬上川の上流にあたる大君ヶ畑(おじがはた)に6年間住んでるわけですけれども、その周辺を若干撮っているわけですね。姫田さんについては、もう先生ということはよろしいですね、姫田さんでいきます、親しみを込めて。以前からですね、すごい作品があるということは知っていたし、なかなか見るチャンスはなかったんですけれど、時々放映されたもので、NHKとかそういう所に若干出されたやつを、これはすごいなっていうことで是非お会いしたなあと思っていたところ、人間っていうのはものをやりはじめたらそのことに熱中しますからね、映像の大先輩ということで是非お会いしたいと思ったんですね。そうしたら、ちょうど一年前にここでお会いすることができて。これも会場の中なので、一言二言で終わったんですけれども、今日はこうやって贅沢な対談ということになりましたので、喜んでます。

 僕は見て感じたのは、最初斜面の、しかも湿り気のあるふかふかとした土壌ではなくて、なにかざらざらざらっと小石が落ちてくるような斜面ですよね、そこに鍬を入れてやっているんですよね。それを焼畑をやる時の準備から焼畑の時の作業から、その後種を蒔くことから、あらゆることがどんどんどんどん人間のエネルギーが大地に向かって放出しているわけですよね。これどんどんどんどんやってどんなことになるんだろうかと。ソバが出てきて、田芋が出てきて、それを今度人間が食べた時にね、放出したエネルギーと入ってくるエネルギーが合うのか。これはマイナスになってしまうのかと思うぐらいにね、すごく大地に向かって働きかけているわけですよね。それが前半で繰り返し繰り返し出てくるんですよね。あれはなんとも言えないんですね。あれを今風にテレビがやるみたいにパッパッとこうカットで持って行かれたんではダメですよね。あれを繰り返し繰り返しやっているうちに、なにかその世界に、先生が言われる「素手の世界」にね、入っていって、自分がそこへどっぷり入るわけですね。そこからものを考えられるということですね。だけど、心配したのは、この人たちは繰り返し繰り返し体を痛めながらしかもエネルギーを放出しながら、最後どうなるんだろうかと言う時に、後半に何ですか、あのおまんじゅう、おまんじゅうに葉っぱを?

姫田:虫送りの時ですか?

小貫:ええ、そうです、虫送りの時におまんじゅうをつくりましたよね。

姫田:からたち

小貫:あ、そうですね。からたちの葉っぱ、あれが出た時にホッとしたんですよね。それから、どーっと放出したエネルギーがちゃんと作物を加工する場面が出てきてホッとして。ずっと後半ね。で、全体の大きく前半と後半がそういう流れになっていて、多分みなさんも共通してそこにホッとした気分で最後までものを考えることができたんじゃないかないかなと思うんですね。映像をやったばかりなんで、そういうつくり方とかね、そういうことも同時に学ばせていただきました。

 映像は、先生の場合は本格的にフィルムでやっていますけれどね、今映像っていうのはデジタルであるとけっこう画質がよくて、いいものができるんですよね。そうすると、今はみなさんが映像作家になれるというぐらいの技術が上がってきているんですよね。そういう意味では、お暇のある人って言ったら悪いんですけれども、余裕のある方は、そういうことをやって記録しながらやるのもものすごくいい勉強になるんじゃないかなというふうに思っています。これは余談で。

 それからですね、モンゴルとの対比で言うと、あれだけ体を痛めながら繰り返しやっている作業をですね、そこから出てくるわずかなものの収穫、これを一生涯ずっと続けていくっていう人生ね、その中に多分、我々が見出せないような喜びがあるんだと思うんです。それで、あの人たちは死んで山の土の中に帰っていくわけですよね。で、そういうものの中に、我々が想像できないような喜びっていうのは一体何なのかっていうことも、なんか伝わってきたような感じがしますね。最後の後半でそれはよく出ていて、分かったような気がするわけです。

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