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地元学をはじめよう その2

「記録映画で地元学」 

 記録映画「椿山 焼畑に生きる」上映会と対談

(2006年10月7日(土) 永源寺公民館ホール)
講師:姫田忠義 小貫雅男

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作業のペースは柔敏につくられる

会場1:以前ちょっと名前も失念して申し訳ないんですけれども、椎葉の方で焼畑をやっておられた人の調査によると、住んでおられた家から2時間ほど離れた山奥で焼畑をやっているというのが書かれていたんです。そういう焼畑をする場合は立地条件というのは…

姫田:多彩ですね。それから固定して特定の所でやってというふうにできないんです。小さい単位を何ヶ所も持っていますから。一年に通う、作をする所が一ヶ所だけじゃないです。平地農村ですとね、耕地整理して広くしてあそこの場所へ行けば自分の田んぼ、それで作業がすべて。そういう発想はまったく違いますから。さっき言いましたように、ひだひだがものすごく多いですから、単純な条件の所はないわけです。日当たりの問題とかいろいろね。

 それで椿山の場合の例ですけれど、すぐ自分たちの集落の後ろの山だと行ってやります。ただしそこまで行くのにね、どれぐらいかかるかというと30分や40分なんでもなしにかかるわけです。それから、これは越後の奥三面という所で学んだんですけれども、一日に二時間歩いてその作業場へ到達する。それが最大限だそうです、日帰りの作業場としては。それ以上の所になると泊まらなきゃならない。

 そういう一つの生活上の一つのペースのつくり方がありますが、何にしても簡単に「2時間行くんだ」とかそれだけに固定してしまったらものすごい誤解を生ずると思います。もっと柔軟です。貴重なところで、誰しもできるだけ合理的にというか、できるだけ自分の体にとっても優しくありたいわけです。わざわざ苦労するなんていうのは、それは言葉では成り立つかもしれないけれども。わざわざ楽をしようとするということもね、言葉通りにはなりませんけれども、そういうところをよく生活者というのは考えていますよね。

 だから、二時間。それは九州山地の椎葉とか米良とかあの辺りの山はでかいんですよ。斜面がゆーっと大きいんです。一つ北側の五ヶ瀬っていう所がありますけど、高千穂から南下して行った所で。五ヶ瀬の人たちにね、こういうことを聞かされた。「五ヶ瀬から椎葉へ行くんです。越えて行くんですわ」って言ったらね、「いやあ、あそこは山が大きいからね」って言うんですよ。五ヶ瀬の人が。山の人がですよ。その人があそこの山は大きいよって言うんですよ。

 で、行きましたらね、確かに斜面のゆーっと大きいわけです。そうすると、自分の裏山であってもね、自分の集落のすぐ後ろ、そこだよという所であっても1時間や2時間はかかるっていうようなことが簡単にあると思うんです。そういうふうに理解をしていただけたほうがリアルではないかと思うんですけれども。

 そしてね、何ヶ所か必ず持って行きます。特に集団的に集落として、これは奈良田という山梨県の焼畑の村がありまして、ここはものすごく標高が高いです。1000m以上で、しかも南アルプスの断層、フォッサマグナの断層地形の所ですから。すごく急峻な所なんですけど、そこなんかの体験で言うと、時間数では割り切れないような配置をしておりまして、元へ戻るのに15年、20年かかるとすれば、大きく分ければね、ブロックとしては20のブロックをつくっております。広ーい、何千haかの中に、山地のブロックをつくっておりまして、その中をまた細分化して、去年は日当たりが悪かったから俺のところへ日当たりのいい所を寄こせとかね、配分をする村内の約束事が最近まで続いておりましたですけどね。

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