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地元学をはじめよう その2 「記録映画で地元学」記録映画「椿山 焼畑に生きる」上映会と対談 (2006年10月7日(土) 永源寺公民館ホール)
たくさんの実例から学ぶことたくさんの実例を持っておいて、我々が学び直した方がいいと思うんですけれど、その中には焼畑の周期というのは20年の周期ですよと。これは東北の蔵王の炭焼きさんたちにまた同じようなことを聞いたんですけどね。炭焼きさんが、今でもやっているんですけれど、木を伐る。その木を伐ってまた元の、木はまた生えてきますからそれを期待して動いているわけですけれど、やっぱり20年ぐらいの周期になると言うんです。それでね、こういう言い方をしました。「なんで20年ぐらいですかね? それ以上経ったらあかんのですか? 大きければ大きいほどいいじゃないですか」と聞いたらね、そんなことはないと。「子を成さんがい」と言うんです。大きくなるということと子を成さんというのはね、この次の繁殖力というかね、 小貫:あ、子を成さん、ね。はい。 姫田:子を、成さん。だから、子どもが生まれんっちゅうわけですよ。つまりその年寄りになった木よりもまだ旺盛な再生力を持った木をやっといたら、次の世代が出てくるからそれで持続できるということを言って「子を成さん」という言い方をなさったですね。 小貫:その周期は大きければ大きいっていうので、ちょっと余計なことを言うんですけれども、70年周期でお祭りをやる所がね、茨城県の水戸の先に水木っていう所があってね、大洗があって。そこからずっと山に入って行ったところに久慈郡っていう所があるんですけれど、その山の中に70年に一回のお祭りがあるんですよ。びっくりしますね。だから、今参加した人はほとんど次のお祭りに参加できないのになぜ決めたかという問題がね。これは謎なんですね。 土地の人の言うことを聞き流している姫田:それは、そういう意味ではね。しかし、我々は聞き逃して簡単に「それは昔話よ」とか「伝承よ」とかって言っているようなことがいっぱいありますよね。だって「子孫のために木を植えているんだよ」っていうようなことはなんでもなしに聞きますよ。どこででも聞きますよ。それを聞き逃しているんですよ。土地の人が言っていることを聞き流しているんですよ。 僕は、だからあのおばさんの言葉なんか一生懸命、可能な限り拾っているんですけどね。それから、これはレポートですけれど、あのおばさんの言葉の中でね、4年間これは聞きたいと思いながらついに聞かなくて、最後の土壇場になって、もう編集も終わって録音のスタジオに入るという時に一人で録音機抱えて土佐まで飛んでいっておばさんに聞いた言葉が入っているんです。 それはね、「世の中他の所はみんな焼畑を棄ててしまっているのに、どうしてここの人はやっているんですか?」と、その一言なんです。それは今だったらテレビでも何でも災害で困っている人の所へ行って「今のお気持ちは?」っていうやつですよ。平気でやるんですよ。苦しいのに決まっているじゃないですか。
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