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地元学をはじめよう その1

「心象図法で地元学」

(2006年9月30日(土) あかね文化センター小ホール)
講師:上田洋平

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グローバリゼーションと地域学

 それから、もう一つ。地域学というものが注目されている理由があります。それは何か。

 世界規模でも、また本当に小さな一つ一つの地域の中でも、間違った意味でのグローバリゼーション、世界規模化などと言われますけれども、そういうことが非常な勢いで進んでいるのではないか。地球世界を覆いつくしてしまっているのではないかなと。

 たとえば、先のイラクの戦争でもそうですけれども、今、だんだん「あれは失敗だったのではないか」というようなことが言われていますが、あれなども非常にグローバリゼーションの影の部分でございます。アメリカ、一つだけ強大な力を持った軍事の力、お金の力を持った国が、自分の価値観を世界中に広めようとして、言うことを聞かない所にはボタンを押して爆弾を落として言うことを聞かせればいいんだ。そういうようなことが、それは軍事でもそうですけれども、日々の私たちの生活でも進んでおるのではないか。

 「グローバリゼーション万歳」と言っている人は、こういうことを考えているようです。地球をノッペラボウなものだと考えて、地球上に生きている人はみんなすべて同じ一つの幸福を求めているんだ。お金持ちになれたらいいとか、そういうことを考えている。一本の単純な見方に基づいて、いろいろな地域があっていろいろな文化があるけれども、それは先頭を走るか遅れているかの違いはあるけれども、結局は、みんなが裕福で、お金持ちになって、便利な暮らしをしたい。そういう一つの幸せの型の中に収まるのではないか。だろう、違いない。世界の幸せはそこにしかない。それを実現するには、科学技術と経済学があったらそれでいい。それで充分だと考えている。そういう節があるんです。これが非常な勢いで進んでいる。

 だいぶ前ですけれども、マクドナルドに行った時に、マクドナルドの広告に、確かあれ、オリンピックのときだったかわかりませんが、「宇宙に行っても同じ味」ということが書いてありました。世界中どこへ行っても同じ味。同じもので統一されている。それが宇宙へ行っても同じマクドナルドだと。

 もちろん、効率化、合理化ということは必要でございます。だから、どこへ行っても同じ品質のものが楽しめる、これも必要なことでございますけれども、それだけだろうか。地域には地域の味があっていいのではないか。国道などを走っていますと、もうどこを走っているのかわからない。青森を走っているのか、今、彦根を走っているのか、風景は同じですね。大きな看板があって、同じようなコンビニエンスストア、同じようなお店が並んでおる。そういう状態に、地球全体がなろうとしているのではないか。それでいいのか。

 けれども、事実は違いまして、地球というのは決してノッペラボウではない。森林地帯がある、砂漠地帯もある、田園地帯もある。そういう地域で、少々貧しくてもいいんだ。貧しくても、家族や親戚と仲良く暮らして、安心できる世の中の方がいい。こういうふうに本当に考えている人もいるはずなんですね。お金儲けのためなら家族もいらんとか、そういうことじゃない。ちょっとくらい貧乏だって、みんなが安心して、家族、地域、仲良く暮らしていきたいと思っている人たちもいる。

 いろいろな地域には、本来、その地域の自然とか生態に根ざした個性ある生き方がたくさんある。田んぼには田んぼの生き方、湖には湖、海には海、山には山の生き方がある。その価値の尺度、何に価値を置くかというものさしも、単にお金の豊かさだけではない。テレビのコマーシャルで、「お金で買えないものは○○カードで」というものもあります。あれも、結局、お金がものをはかるものさしになっているんですね。お金で買えるかどうか、そんなことが尺度になっておる。

 そういう状態。グローバリゼーションが進んでいる。イラク戦争のようなことが経済でも文化の上でも進んでいる。けれど、やはり、どうもそれはおかしいのではないかと考える人がおられます。それが大きな紙の二番目に書いてある「GNH」という言葉でございます。

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