トップ

講演記録このサイトについて

人と自然を考える会
所在地
滋賀県東近江市八日市金屋2丁目6番25号
東近江市立八日市図書館内

TEL:0748-24-1515
FAX:0748-24-1323
 
Home >> 講演記録 >> 上田洋平


地元学をはじめよう その1

「心象図法で地元学」

(2006年9月30日(土) あかね文化センター小ホール)
講師:上田洋平

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18 19

知恵を地産地消したい

 この、「うぶすなの知」とか身識とか言っているものが甦ってほしい。知恵を地産地消したいというようなことを考えております。これ、実際、たぶんそういう方向になっていくと思います。今、物質とかエネルギーというものは循環していかなければいけないと言われております。その方向で考えられております。使い捨てではなくて循環していこう。ようやく今頃になって、情報、価値観も循環していく方向を探ろうではないか。

 私、大学で学生と一緒に地域のお年寄りに話を聞きに行くことがある。そのとき、地域のお年寄りとしゃべった学生がどんな感想を言うか。「先生、私、18年間生きてきて、こんなにゆっくり地域のお年寄りとしゃべったことなかった」。こんなにゆっくりってどれくらいかというと、40分か50分くらい。それは非常に断絶があるなと。世代の断絶。前の世代が生んだ知恵は継承されない、反省されないで、今、生まれた知恵が明日には古くなる。使い捨ての時代になってきている。そういう恐れもあるのではないか。

 しかし、それに対して、きっと私が考えるところの身識とか「うぶすなの知」というもの、地域に根ざした知恵というものは、決して古びることなく、毎日毎日繰り返し、積み重ねられていく中で、よけいに鍛えられて洗練されていく。そういうこともあるのではないかなと思います。

 そういう状況は、実はずっと昔から言われている。柳田國男、先ほどから言っておりますが、民族学者の柳田國男という人は、こんな言葉も言っている。「今は政府は一生懸命、非凡の教育ばかり、天才ばかりをつくろうとするプログラムで勉強を教えておるけれども、実は、それでは国は成り立っていかんのだ。平凡の教育というものもしなくてはいけない。それを忘れては、実は非凡も役に立たなくなるだろう」。

 平凡の教育とは何か。今まで申し上げていますような、身識とか地域に根ざした知というようなものでありまして、毎日の生活の中の常識とか、今、学校の教育でしつけができないとかいうこと、これも平凡の教育の中に入ると思うんですね。学校はもう非凡の教育、天才を生み出すことばかり考えている。そういうふうに仕向けている。だから、実は地域がひょっとしたら平凡の教育というものを担っていたのかもしれないけれども、全部、教育は、知識は学校で、ということになっている。そういう問題があるのではないかということが言われている。

 そういうふうに非凡の教育とか、学校で教わることばかりで考えていくと、実は地域の未来、日本の未来、地球の未来を考える時も、本当に正しい選択ができるだろうか。そういうことも考えるんです。あちこち飛びますが、この小さい紙の三番目に移ろうかと思います。

←前のページへ 次のページへ→

▲ページトップ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18 19