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地元学をはじめよう その1

「心象図法で地元学」

(2006年9月30日(土) あかね文化センター小ホール)
講師:上田洋平

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五感体験アンケートで豊かな体験が出てくる

 それが、五感体験アンケートに結び付く。単純なことです。大塚のみなさんにはすでにアンケートをお配りしました。みなさんにとってなつかしい目に浮かぶ風景というのは何でしょう。耳に残る音は何でしょうか。肌に甦る感触はありますかということを、このアンケート用紙を配らせていただきまして、うかがっていくわけです。味はどうですか。

 そうすると、ビックリしますね。とってもたくさんの回答が出てきます。今日も資料集の中に大塚でアンケートを回答していただいたもの、字は小さいですけれども、持ってまいりました。またお帰りになって見ていただきたい。

 これも画面の中をご覧いただきたいと思いますが、びっしり書いてくださる方がいる。こんなものを今までの人生の中で見た、この地域の中で見た、聞いた、触れた、触った、匂いを嗅いだというものがたくさん出てきます。これはよその回答例ですけれども、こっちで見ましょうか。大塚ですと、風景でいうと、レンゲ畑が一面にあったなあ。足踏みで脱穀する、稲こきする姿があった。ギーコンギーコンという音がしていたなあ、どこの田んぼからも。あれ、手伝わんならん。稲を運ばんならん。重たかったなあ。霜が降りる頃に田んぼに行くと、足が冷たかったなあ。そういうことがたくさん。あるいは大塚などでは、どこでも昔は茅葺きの家やったな。そこから、夕方になると煙が出て、シューっと一面煙が出ていたな。家の中はくすぶっていたな。夏なんかは家から脱出して、外で夕涼みしていた。ため池があって、そこで魚つかみをしたな。夜通し水を抜いて、朝になって魚つかみをした。いろいろな回答が出てきます。本当に身に覚えのある地域の姿がたくさん出てきます。これもまた、ごゆっくりご覧いただくと分かると思います。

 それを一つ一つ読んでいるだけで、本当に美しい叙事詩のような、抒情詩のような、そういう回答がたくさん出てきます。これは守山辺りでやったんですが、どこの家でも池でスイカやマクワを浮かせて食べたな。田植えが始まるとカエルがやかましく鳴いていた。守山辺りですと、ミソジャという食べものがあって、昼前に柳の木の根元に小川があって、そこに網を入れておく。それで魚を獲る。そこに流れている小川の魚を獲る。そこに流れている川の水をやかんで汲んで、ワラなどで火を焚いて、それを沸かす。獲った魚をそれに入れて、家から持ってきた自家製の味噌を溶いて食べたらミソジャといって、おいしかったな。こんなんがたくさん出てくる。日々の生活の中で体験したこと。そのあたりまえの毎日の様子がいっぱい出てくる。

 大塚でもこれだけたくさん、まだまだない部分はあると思いますが、たくさん出てきた。一つ一つ読んでいきたいのですが、今日は時間がありませんが、こんなにたくさんのものがでてくる。僕は驚きましたね。ああそうか。大塚の人はこの風景の中で、こんなに豊かにこの地域を体験してきたんだ。学校では習わなかったぞ、こんなこと。大学でも、教科書にも載ってないぞ。昔は千歯でこきました。それがどれだけ大変だったか。そしてそれが終ったらどれだけ楽しかったか、嬉しかったかというところ。そこから本当は地域のことを身近に感じるということがわかる。

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