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人と自然を考える会
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地域にある森林資源を生活に取り入れる

「これ、木でできてるの?」

(2007年3月11日(日) 東近江市永源寺図書館)
講師:山田佳行

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「間伐材」をめぐる意識のギャップ

 自分自身がmonaccaについて思っているのは、お皿にしてもうちわにしても、「かなば」という商品にしても、常に間伐材という言葉が商品についてまわるような売り方をしてきました。ただ、僕らのように山に住む人間にとっては間伐材という問題が非常に重要な問題なんですけど、それが街へ行った時、たとえば高知市でその話をした時に、「間伐材、ふーん」で終わってしまうことがすごく多くて、自分の目の前にある問題っていうふうになるにはまだまだ時間がかかるなと思ったのが一つです。

 自分たちはスギという素材を使う関係で、どこへ行っても、今の時期花粉症の対象という目でしか見られてない部分も非常に多くて、極端な例で言えば、木のうちわであおいだ時に、「私花粉症なんでやめてください」と言われたことが何回かあります。それだけやっぱり情報が正しくなく伝えられていて、スギが敵のように見られて、思われていることが高知県内でも実際あったのが僕自身はすごくショックでしたし、今でこそ高知県でしたら林業関係の所、森林県という名前を打ち出したり、林野庁からもそういう「木づかい運動」という形のいろんな取り組みが出てくる中で、スギに限らず森に対していろいろと見直してもらえる機会が増えたと思うんですが、当初は情報が正しく伝わっておらず、逆に僕らは間伐材という言葉はのけようというところが、このmonaccaをやりたいと思った一つでもあります。

 ケースバイケースなんで、一般で売る時はもちろん間伐材とは言いませんけど、たとえば変な話ですけど、林野庁さんの方に買っていただきたいと思えば「間伐材のバッグです」と言いますけれども、やはり一言言われたのが「重たい」。というのは、「間伐材という言葉が重たい」とすごく言われました。結局それは山の問題であって、そんな問題を街へ持ってくるなみたいな言い方をされたこともあります。

 で、そうじゃないということを僕らもやっぱり知ってもらいたいですし、今でこそ川と海と山とっていうのが一つの絵のように描かれているところも多いので、すごく分かっていただけるんですけれども、なかなかそれが全員に伝わるまでっていうのは時間がかかると思うので、そういったことを抜きに木を使っていただける、生活の中に木が少しでも入っていく商品をつくりたいなと思ってきたのが、monaccaシリーズということになります。

なぜ海外戦略か

 海外へ自分たちが戦略をしていこうという一つの大きな理由として、単純にバッグですので、一回買っていただくと次買っていただくまで何年かというサイクルがあります。で、何年かと待っているうちに次の商品が出なければ、もちろん業としてやっていけないという問題もありまして、もっと売り先を広げなくてはいけないという思い。

 それと、商品を開発した当初、海外の方から非常に声をかけられました。まず一つはメイドインジャパンであるということ。すべてが日本でつくっているということ。で、素材が間伐材ということで、今環境、エコ、ロハス、いろんな言葉が飛び交いますけれども、そういうイメージにマッチしていると。それにデザインが加わっていると。そういう意見が非常に多かったです。実際自分もこの商品群を持って、今までに2回、イタリアのミラノ、それからドイツのフランクフルト、その二つでのイベントといいますか、そういうものに参加をさせていただきました。実際に生の声を聞かせていただいて、日本以上に海外の方がこういう商品に対して理解を示していただけるという割合も高いし、それから、見てからのいろんな行動ですね、たとえば見て、「じゃあそれを買い付けます」という行動についても、海外の方が日本に較べて非常に早かったです。特にニューヨークの美術館なども非常に早く商品を入れることができましたし、そういう意味で、海外っていうのはやっぱり一つ自分たちの大きなマーケットとなるだろうというのがあって、やってはおります。

 まあ、ただ本当に1100人の村ですので、1100人の村から貿易をするということに関してはいろいろと難しい面もあります。一つはやはり、流通一つをとっても高知県からものが海外に流れているというのはほとんどないので、いったん関西へ持ってくるか、東京へ持ってくるか、物流一つとってもいろいろと、ちょっとほかと同じようにできない部分もありますが、なんとかその辺りは一つずつ今クリアしているという状況です。

 今でも海外でやっていくことに関してはすごく不安も持ってますし、不安と同じだけ「いけるかもしれない」という期待も持っていますが、お菓子の最中をもじったという形で二つがはさまっていればmonaccaシリーズと自分たちは考えていますので、今電卓とノートパソコンと言いましたけれども、それ以外のまだなんとも言えないものがいくつか後ろにありますので、みなさんがそういったmonaccaシリーズのファンになってくれたらいいなと思っています。

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