地域にある森林資源を生活に取り入れる
「森とつながる暮らし方を提案します」
(2007年3月11日(日) 東近江市永源寺図書館)
地域にある森林資源を生活に取り入れる
第2部:パネルディスカッション「森とつながる暮らし方を提案します」
コーディネーター 中野栄美子さん
(パネラー 山田佳行・回渕享冶・川嶋康夫さん)
中野:「森とつながる暮らし方」、今日は「森林支援と日用品」、それから「現代生活で森林空間を感じるには」をテーマに、まあテーマはこんなふうになっておりますが、話はいろいろとまわり道をしながら、みんなで共感を持てるようなそんな話に進めていけたらなあと思っております。
それでは、名前が前には貼ってあるんですけれども、先ほど山田さんの方にはいろいろとご紹介をいただきましたので、この時間改めてお迎えしましたお二方にそれぞれの活動といいますか、日常どんなことに携わっておられるか、もちろん、今日は森林を感じるテーマですので、お二人とも木に携わっておられます関係の方でいらっしゃいます。それではパネラーの回渕(まわりぶち)さんと川嶋さんをお迎えしておりまして。まずはじゃあ、回渕さんの方からご紹介をいただいてよろしいですか?
薪ストーブのある暮らしを広めたい
回渕:回渕と申します。八日市の方で薪ストーブの販売と、暖炉、薪、原木、あとは県の方の関係でペレットストーブ、滋賀版のペレットストーブの開発、そういったこともさせていただいております。ここに薪ストーブがあるんですけれども、今はかなりいろんな雑誌であったりとか人気が出てきたんですけれど、小さい時からボーイスカウトに入っていたというのもありまして、焚き火であったり、飯ごう炊さんであったりとか火を使うのが本当に好きで、親元に行ってお風呂に人がもう入ってへんのにいつまでも薪をくべて怒られてたというような。
そういうのでずっと来まして、高1の時、今から30年ほど前にちょっとドイツに行かせていただくことがありまして、そこでお世話になっていたお家に暖炉がありまして、家の中で暖炉がゆらゆらっと燃えているっていうか、石原裕次郎の映画のシーンじゃないんですけれども、実際に向こうでそういうなんを若い時に見てきて、自分が家を建てる時には絶対薪ストーブを入れたいというようなことで興味を持っていまして、13年ほど前に家を建てた時に薪ストーブを入れて、その時はまだこの仕事に入ってなかったんですけれども、やっぱりこのストーブによりぐっと入ってしまって、修行に出て、8年前に店を出したというような形でやらせてもろうてます。
最初店をやった時よりも、自宅に薪ストーブを入れた時、なかなか薪が本当になくて、永源寺の森林組合さんの方とかあちこち行ったんですけれども、「雑木なんてそんなもんない」と。あったところで乗用車に積む分ぐらいの量というのは全然相手にしてもらえなかったのが当時でありましたもんで、自分が店する時にはお客様に薪で困ってもらわないようにということで、原木の入手ルートとかあちこちあたりまして、今ではやっと原木から販売できるようになってきたんですけれども。
ちょっと話が長くなってあれなんですが、ご存じある方もあると思いますけれども、地元八日市にウィスキーの樽工場、エイジングセラーがありまして、そこで古樽を7、8年ぐらい前からずっと分けていただいていまして、工事させてもらった人だけには1パレット大体800kg、ふつうの薪で言うと100束分を5000円でずっと販売をしてたんですけれども。それも地球温暖化ということで洋酒メーカーがインドネシアの方にその古樽を送って、薪で生活してらっしゃる方々の少しでも足しになればということで日本には流通しなくなって、私の所には入らなくなったもんで、なんとかお客様に薪を少しでも安く、灯油と薪ストーブどっち使うかと言った時に、値段がカロリー換算で一緒になるぐらいの薪をつくっていきたいということでいろいろと調整してやっているところでございます、はい。
中野:みなさんは薪でなにかされたことは? 私もすっかり忘れてましたけど、小学校の頃まだおばあちゃんが薪を割ってて、「いくつなん?」って言われるんですけど。薪のお風呂で道に面する側に木を積むから、おばあちゃんががんばって薪を積むと家が暗いんです。日が差さないからね。それで薪が減ってくると家が明るくなるみたいな、地味な家に住んでましたけど。そうですね。今だと薪割りができない人とかも多いですよね。大体斧も持たないというか、ねえ。
回渕:新築して、若いお二人が薪ストーブ入れるって言った時に、まず反対されるのが年配の方で、「なんで今から薪ストーブを入れるのや」と。大変だ、面倒くさい。「スイッチ1つで付く暖房器具がいっぱいあんのに、なんでそんなんすんのや」ということが本当によくあるんですけれども、実際に火を入れて暖かなってくると、「ストーブええなあ」と。
政所のお客さんの所もそういうなんが実際あって、最初おじいさんが「なんでそんなんすんねん」と言っておられたんが、最後はずっと火の番をしておられて、というのもありましたね。
中野:そうですね。先ほどの馬路村のお年寄りの方も、そんなんつくって何をつくんねやと言ったように、なんでもそうですよね。うちの96歳のおばあちゃんに私が田んぼをしたいと言った時に、「もう今さら農協に預けてあんねから、なんでわざわざ田んぼするの」と。お年寄りは自分たちがしてきた大変なことがやっぱり経験にあるので、「もうそんなんしんでいいよ」と言わはるんですけど、やっぱりやりたいなと思った時がちょうどきっかけで、それをやったら実際いいもんはいいってお年寄りの方も改めて分かっていただいて、今火の番をおじいちゃんがされているぐらいですからね。ですから、やっぱりきっかけっていうのが大事で、その時に反対されても、いや、ちょっとやってみようと思って、できるとなんでもいいんですけれどもね。できるまではいくつかのハードルをクリアするという大変さはあると思いますけどね。また後ほどよろしくお願いします。
はい、そして、川嶋さん、よろしくお願いします。
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