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人と自然を考える会
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地元学を知る

「地産地消で地域の再生を」

 地元学であるものさがし

(2006年10月9日(月・祝) 愛東福祉センターじゅぴあ)
講師:結城登美雄

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共同店の利益の使い道

 最初の利益は子どもたちのための奨学金制度にしました。今なお奨学金制度は生きています。80戸に減った今も生きています。次の利益は、医療費無利子融資制度というのをやりました。材木を伐採してケガをしたら入院しなければいけない。介護も付けなければいけない。だけども金がない、入らなくなる、共同売店の利益から無利子で、2年後ぐらいに返済すればよい、そういうものをつくりました。医療費無利子制度です。医者は今は来なくなりましたが共同売店の利益で診療所を建設したわけであります。

 そういうことなんですよ。道路が、米軍が来て初めて、本部半島本部島で4日かかったところが道路が出来たけれども車がないんです。そりゃそうですよ、携帯電話があっても携帯入らないみたいなもんですから。で、村でバスを買いました、村バスといいます。自治体じゃないですよ、集落ですよ。

 最後まで光が当たらないヤンバルでした。琉球、薩摩に支配され、近代の明治政府の光、少しも当たらず。戦後は米軍に支配され、本土復帰昭和47年、本土が豊かになっていく中で、沖縄は、一部は基地として華やかになったかもしれない。最後まで電気が通りませんでした。そこで共同売店の利益からみんなで話し合って発電所を建設しました。なぜ高いビールはうまいんでしょうか、これでお分かりいただけると思うんです。

 結局、僕らが自分の利益しか考えられない人間になってしまったような気がします。自分さえ多く飲めれば、自分さえ安く買えれば。他人のことを考えるのが、一緒に暮らす周りのことを考えるのが地域づくりというものです。煩わしい他人のことを一緒に考えるのが地域づくりというものです。すごいなあと思っています。

 こういうことを沖縄は100年間…これが野甫島野甫(のほ)という集落で売っているものなんか、ほら、こんなものですよ。結局これぐらいあればだいたいまあ生活はOKなんですよ。インスタントラーメン、サンダル、バケツ、ね。ほらここに出ているじゃないですか、「奥は共同店の発祥の地」、昔のここに建物だけは残っていますが、表の方に広くなりました。村の船、石油代が上がると運賃が上がって、材木が安くなってしまうから自分たちで村の、共同売店の船を。精米業を今もやってます。製茶業もやっています。製茶所もつくりました、精米所もつくりました。運送業、こういうのは全部共同店を媒介しています。泡盛工場もあったんですよ、今はやっていませんが。これも共同売店の利益からやりました。発電所がありました、預金や貸付をしました、銀行もやったんですよ。この頃調べていったらもっとすごいことがある。金のない時に役場に金を貸していたんです。それで自分たちを政府って呼んでいたんですよ。すんごい文献出てきましたよ。今年百周年なんで僕も少し琉球大学と。自分たちのことを政府って呼んでいましたよ。「美しい国」なんて言う政府じゃダメなんで、「よっぽど、俺はこっちの政府の方がいいな」って言った。「高いビールはうまいんじゃ」政府の方がいいですよ。すごいなあと思います。

 人間の力ってすごいなと思ったんです。僕らがそう思えば出来ることをやったんです。奇跡を起こしたんじゃないんです。人間がやれることをやったんです。そして国に頼らずどこにも頼らず、自分たちの村をよくしようとしてきたわけであります。

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