地元学を知る

「地産地消で地域の再生を」

　地元学であるものさがし

丸森町でも共同店

　ところが、私のいる丸森の大張地区、300戸1000人の村。これが、JAが購買部撤退、日用品を始めとした生活用品に甚だしい不便を生じ、2年前の地域消費の下火に小売店は廃業。店一軒もなくなりました、1000人の村に。困っちゃった。買い物をしたくても店がない。ティッシュペーパー買うのに14km離れた所まで行く。日本にそういう所がいっぱい増えてきますよ、これから。効率が悪い所からみんな撤退していきますよ。買い物が不自由だというのがいっぱい出てきます。これも走りではないかと思います。そこに沖縄の話したんです。

　したら、一番前の席にお母さんたち3人、心配そうに赤ちゃん抱いていましたよ。いろいろ話が終わったら、「結城さん、うちの村にも共同店のようなのつくれないものでしょうか？」って。「高いビールはうまいんじゃ、だったら出来るんじゃないか」と言ったら、「いや、私は実は亭主の給料が安いから、10円でも安い、あっち行き、こっち行き、そういうふうだったけれど、もし自分の村にそういう沖縄のようなものが出来たら、私は出資します。そしてそこで、高くても買い続けます」って言ったんですよ。年寄りは「なんかまあ、そういう世の中もあるさ」というぐらいだったのに、若いのっていうのはそういう時はいいです。

　で、3人の赤ちゃんを抱いた若いお母さんが、「みなさん、いかがですか？」って言ったんですよ。で、ザワザワとなりました。まあ、私はスレッカラシですから、よくありがちな日本人の一時の興奮だと思っておりましたが、帰ってから1週間たったら電話が来ました。「結城さん、出資金、おいくらでしたでしょうか、沖縄の」って。俺3000円って言ったはずなんだけれど、2000円って言っちゃったらしいんだよね。「ああそうですか、何か？」って言ったら、「いや、なんでもありません」って。

　そしたらみんなで手分けしてまわって210戸、7割の家が出資してくれました。大張地区の7割の家が出資してくれました。そこの5軒の工務店、電気工事店がありますが、そこが20万から40万ずつ出資してくれました。で、その集落に12人の公務員、村役場に通うお役人がいらっしゃる。それが2万円ずつ、公金ではなく、公金を出資したんではなく、自分のこづかいで出資2万円ずつしてくれました。

ケーキも刺身も。車も？

　それを元手にこういうものをつくった。これ、農協の購買部ですよ。ほら、採算が合わなくて撤退した。売っているものなんかおんなじですよ。隣に郵便局があるので、年金出る日はもう入れやしないと。年金受け取ったじいちゃんたちが、ドッカとここに場所しめて、小学生が帰るのを待っているんですよ、16人小学生がいますから。「お、どこどこの孫、何でもいいから買え!」とかって、年金使う場所が出来たから。アイスクリーム4個も5個ももらって帰ってきますよ、本当におもしろいなあと。そういう所ができて1年目。それで、なんでも、ほんとにこういうものもお互い売る場もなかったのが、売るようになるし、「俺はちょっとニンジン植えるの失敗したから、俺は買うわ」って、隣の家のをここを経由で買っているわけであります。直売所の小さなものです。もういろんなのありますよ、それこそ。で1周年経ったら、売り上げ3500万、粗利70万。すごいね、2年目3900万、今年3年目4000万を超えつつあります。で、1周年。人出が集まる盆踊りと運動会の時だけは600人ぐらい集まるのですが、この日1周年で3500人集まったんです。すごいもんですな。

　で、クリスマスケーキ、予約とります。町にはケーキ屋さんがないので、隣の市に、白石市に頼むんです。80個注文ありますよ。そこに発注していろいろ言って、クリスマスイブに届くんです。みんなそこへ取りに行くんです。するとケーキ屋さんが1割なんでも屋の利益に入れるわけです。お正月、刺身を注文します。なんと250軒からの注文がありました。3000円から5000円まで、お正月せめておいしい刺身と。さあ、町の魚屋、倒れそうな魚屋が息吹き返しました。250軒から刺身注文ですよ。おそらくなけなしの貯金はたいて、塩釜という市場に行って仕込んだんだと思うんですよ。何年かぶりでこんなうまい刺身を食ったとみんなの大評判でありました。そういうことで、1割がここに入ります。今、取引先100軒を越えました。

　やれるもんですね。魚も何にも不自由ないです、この頃は車も扱おうかいなんてやっていますよ。そんなことが可能なんですね、これ初年度3500万ですよ。こういうものをやっていてですね、沖縄だけじゃなく、日本人も大丈夫だと僕は思っています。本土も。

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