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人と自然を考える会
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地域資源を生かした「まちづくり」事例学習(その3)

「東近江を循環・共生の大地に」

 地域が自立して生きる仕組みづくり

(2006年12月23日(土) 愛東福祉センターじゅぴあ)
講師:
宮本憲一 嘉田由紀子 藤井絢子

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夕張の破産からの教訓

 この間から市町村にとって大変深刻な問題が起こりました。夕張市の破産です。破産っていうとちょっと言い過ぎですね。事実上三百数十億の借財を抱えてですね、にっちもさっちもいかなくなってしまったのですが。ここは実を言いますとつい十数年前までは、地域開発で有名な所でありました。やってるなあという評価もあったんですね。

 ご承知のように夕張という所は日本でも有数の良質の石炭を持っていた炭鉱地帯でありまして、最盛期には人口が十数万を超えたんじゃないかと思いますが。自然も美しい所で私は自然保護の人たちに呼ばれて山に登ったりしてみたことがあるんですけれども。そういう意味でなかなかいい地域でしかも石炭の生産による所得は非常に高かったし、これはもちろん維持されて立派な病院や学校もあったわけですね。それが日本のエネルギー政策の転換のおかげで、しかも安いエネルギーを導入したいってことで石炭産業っていうのはダメになってしまったわけですよね。ダメになってから先について、確かにこの自治体は苦闘しました。

 たとえば、夕張メロンっていうのは有名になりましたよね。夕張メロンなんていうのをつくってですね、これはもういろんな種類の非常に高いメロンから安いメロンまであるんですが、それで一つの町の象徴みたいなものをつくったわけですね。それだけじゃなくて、観光に手を出しまして、炭坑地域を、最近は産業観光って呼ばれているんですが、昔の鉱山だとか昔の工場の跡地を観光に使う、そういう事業あるいは学問っていうのは非常にいろいろ発達をしていますので、炭坑地域を見せる観光。

 それから、これは湯布院のまねをしたんですが、映画祭をやると。都市の力を借りようっていうことで、夕張ではできない大都市で生産される映画を国際的に映画祭をやってみようということでやり始めたわけですね。そういうことをやるために市は第三セクターをつくりまして、市の公社でもってそういう開発をしていったわけです。

 しかし、おかみがやるっていうと失礼ですけれど、どうしても市役所がやることっていうのは限界があるんですね。しかも市役所っていうのはかつて使用力がありましたから、他の団体と違って金貸してくれるわけですよね。そうするとお金を借りて事業をする。そのうちに事業をしても収入はないんですけれど、収入はなくても団体としては市役所は永遠なりで潰れないと銀行の方も思ってますからね。それで一時借入金でどんどんどんどん金を借りていったわけですね。返せない。とうとう新しい市長になって暴露されまして、今大変なことになっているわけですね。

 職員がもう100人ぐらい辞職して逃げるという話になってました。80人ぐらい首切りを予定していたんでですけれど、もう100人が以上先の見通しがないと。今一万数千人ぐらいに人口は減っているんですね。十分の一になっているんですね。しかし、区域が広いわけですから、どうしても施設はたくさんあったわけで、そういう意味でここは一つの現象になっているんですが。

 今、財政の危機もありまして、ぐーっと締めてきていまして、地方交付税がどんどんどんどん減っていますね。滋賀県の場合も同様でありまして、これがまた減る可能性があるわけであります。大体財務省は七兆ぐらいは減らしたいと思っていて、交付税の今までの方式を改めて人口と面積にするという実験が始まったんですが、そうすると私どもの調査では特に小規模市町村の福祉関係ががた落ちになることは明らかであります。そういう点で言いますと、先が見えない形になったわけであります。まあこれを例証にして、国は破産法みたいなものを適用して、ある意味では自治体を解散させるということまで検討しているのでありまして、この夕張市の例は一体これからの市町村をどう運営していくかということについていろんな教訓を投げているように思うのであります。

 ある意味では、国がスケープゴートにして見せしめだ、市町村ちゃんとやらないとこんなふうになるぞという見せしめだというふうにも言われているんですけれども、しかし、それにしても大変重要な夕張問題というのが今出ているわけですが、私はそれと対照的ないくつかの市町村があると思っているんですね。そういう夕張型で、夕張メロンはなかなかのものだったと思いますけれども、他人のふんどしって言いますか、他の力を借りて開発をしようというやり方とは違う開発の方法をとった所と較べてみると、夕張型には多くの問題があったんじゃないかと思いますね。

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