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人と自然を考える会
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地域資源を生かした「まちづくり」事例学習(その3)

「東近江を循環・共生の大地に」

 地域が自立して生きる仕組みづくり

(2006年12月23日(土) 愛東福祉センターじゅぴあ)
講師:
宮本憲一 嘉田由紀子 藤井絢子

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アンテナを持った職員をどう育てるか

藤井:さて、宿題がたくさんあって、先ほどの税の再配分に加えて、人事というか職員の、そこのところについて実はこんな秘策を考えているんだと、お金はないけれどこれが秘策ですと。この秘策があれば13市13町のさまざま地域で動いている人たちをぐんと、その課題を補助金ではなくて県のきっちり政策にのせて予算化するという。市町村は補助金が欲しいと思っているんじゃないんですね。もうくれてあげるではなくて、そこのところをどれだけアンテナを持つ職員をつくろうと思っているかその秘策をちょっと。

嘉田:まず秘策の出発点はですね、市町村の役所の方がおられたら、今まで県から「あれやるなこれやるな」と言われてきたと、思い当たることないですか? ですからその規制を外す、あるいは弱くする。そこのところが出発点だろうと思うんです。その次が、私は今日の資料の中にいくつかエッセンスを入れさせていただいているんですけれど、

藤井:追加資料でお配りしました二枚ものの点眼鏡というか虫眼鏡がないと見えないような資料でございますが…

嘉田:紙をもったいないと節約するとこういうことになるかしら。2ページと書いてあるところがあります。2ページにあるのは実は昭和30年代の琵琶湖岸の桟橋の使い方、琵琶湖の水を飲んでいた地域の仕組みなんですけど、どうやって水道なしで琵琶湖の水が飲めたか? これはしっかりと地域で自分たちで汚れものを流さない、それから万一ご飯粒が流れてもその下に魚がいる。そのことによって結果として水が汚れない。そして、大事なのは自分たちがこの水は飲めるんだという信頼を持っていた。それを記憶と語りから見える複合的意味と言っておりますが、目に見える風景、物質的システム。これは生きものとものの仕組み。二つ目は人とものの関係性、社会的システム。すみません、2ページの一番右下です。そして、三つ目は人の心性、精神的システム。水がきれいという安心、共同の水利用者への信頼、なじみこみ、もったいない。

 実は、今までの行政の仕組みは物質的システム。たとえば道路一つつくるのも、ものをつくるところはとっても得意です。技術的にもしっかりと1cmのずれもなくつくる。けれども、その道路を誰がどういう状態で365日使うんだろうかということは行政の仕組みの中にあまり配慮されてこなかったんです。

 ですから、雨が降ったらどうなんだろう。この道路は24時間365日誰がどういう状態で使うんだろう。そこで子どもたちの通学路だったら、歩道は子どもがせめて道草しながらおしゃべりできるだけ3人ぐらい通れる歩道がいいとかいう形でイメージができます。つまり、ものの仕組みに社会の仕組み。

 そして、ここに心理的仕組みと言っていますけど、じゃあその道路はどういう中でみなさんが愛着を持ってくれるんだろう。やはり街路樹一つ植えるんでも、全部行政の方でここはもうケヤキにします。行政の方で植える街路樹の樹種は供給されやすい樹種ということです。なかなか地元の人に一本一本聞いてまわれません。でも、本当は自分の家の前はこの木にしてほしいという願いがありますよね? そういうものを一本ずつ聞いて、聞いたらそこで、「じゃあ私たちがこれが欲しいと言った木だから、木の葉が落ちても文句は言わんとこう」と。自分たちが求めた木やと。

 今、行政で一番大変なのは苦情処理です。木の葉が落ちてくる。県道やから全部県の費用で掃除をしてくれ。落ち葉かき一つまで県の費用でやっていたら税金がいくらあっても足りません。そういう意味では、道路を計画する時から、ゆくゆくこれは誰がどういう形で維持管理して、そこでどう愛着を持ってくれるんだろう?

 まあこれを道普請という形での制度にしようとしていますけど、少し長くなりましたが、今まで行政のやってきた様々な、特にものを中心にしてきた仕事に、社会の仕組み、そして気持ちの仕組みを入れ込むことが大切だろうと。

 これはこのトップセミナーでお話しさせてもらいました。研究者の話としては分かるけど、知事の話としては分からんと言われましたが、実はこれが知事の話なんです。これが知事の話だと理解をしてほしいわけです。それで、この心の仕組みまで含めた形で理解するにはどうしたらいいか?

 みなさんが自分でしている仕事を子どもに語ってください。奥さんに、あるいはだんなさんに。家の中で食卓の上で、お父さん今こういう仕事しているんだけどどう?って。自分の言葉で家族に語れる、あるいは親族、隣近所に語れる。これが公務員の仕事をまず現場の仕事とつなぐ、難しくない第一歩のヒントではないでしょうか。これもトップセミナーで言いました。この辺りに入り口があると思っています。

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