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人と自然を考える会
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地域資源を生かした「まちづくり」事例学習(その3)

「東近江を循環・共生の大地に」

 地域が自立して生きる仕組みづくり

(2006年12月23日(土) 愛東福祉センターじゅぴあ)
講師:
宮本憲一 嘉田由紀子 藤井絢子

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政策に必要な3つの内容ー目的・手段・主体

 私は地域開発論としては内発的発展論というのをずっと必要としてきたんですが、それは3つぐらいの原則になると思うんですね。政策っていうのは3つの内容がきちっと決まっていないとダメなものなんですね。

 知事がいて失礼ですけれど、知事は考えてらっしゃると思いますが、政策っていうのはまず目的がはっきりしていないといけないですよね。目的がいいかげんなもの、これは政策になりません。まず目的が明示されていなければならない。それから方法ですね。どういう方法で目的を達成するのかという手段や方法が明らかでなければならない。それから第三に、主体がはっきりしていなければならない。誰が責任を持つのか。

 この3つがはっきりしている開発というのはうまくいくんですけれども、最後は誰が責任を負うのか分からない、方法はどこからかお金を借りられればいいと、そういういい加減なものじゃだめなんですね。

 目的で非常に大切なのは、開発である以上は、確かに人口だとか所得だとかいうのは大切な指標ですよ。やっぱり人口がどんどんどんどん減っていくようじゃ困るわけで、人口はやっぱり増えるかあるいは少なくともそんなにがた落ちにならないように考えなくちゃいけませんし、所得も人口が一定に増えてくればそれに見合って増えてこなければいけないと思いますけれども、しかし、人口や所得というのは後からついてくるものなんですね。また、それだけでものを計れないと思うんです。

 やっぱりその地域が大変魅力があるというのは、なにも金儲けがうまいとかそういうことではないと思うんですよね。人に人格があるように、その地域には地域の格というのがあると思うんです。僕は都市格と言っているんですが。その地域が大変魅力があるっていうのは必ずしも所得だけでは計れませんよね。やはり総合的な地域のよさというのがなければいけないわけで、そういう意味では開発の目的というのは人口・所得というのをすぐ立てるんですけれどそうじゃなくて、そこに住む人たちの住宅や生活環境やそれからまた教育や福祉や、そういう総合的な目標を立てなくてはいけないんですが。その場合に、その地域でその総合的な目標の中の何が最も優先するかということを、住民が充分に検討してその優先順位を決めなければいけないだろうと思うんですが、優先順位を決めても地域の魅力あるいは格というのを出そうと思うとやっぱり総合的なものでなければならないだろうと思いますね。

付加価値と産業関連

 それから、方法なんですが、地元でできるだけ付加価値を付けなければいけません。つくったものをそのまま出してしまうというのだと、これはあまりその地域に還元するということがないので、やっぱり付加価値を付けなきゃならないんですが、付加価値を付ける場合に大事なことは、産業連関を持たせるということです。さっき湯布院の場合で言いましたね。湯布院の場合は観光と農業という両方の産業をうまくぴしゃっと結びつけたんですね。こういう産業の連関を持たせるということはその地域の経済力を付けていく、技術力を付けていく基本になります。だから、どれくらい地域産業の連関があるかというのがその地域の発展の秘密の鍵です。大体うまくいっているところは産業連関がぴしっといってるんです。

 先ほど、金沢の例を言いましたが、金沢という所は製造業の中のいろんな産業がありますね。たとえばまず金物をつくる、金属の産業。それからそれを加工する機械の産業。機械というのは非常に産業を生むんですが、その機械がまたいくつかの種類がある。そういう製造業内部における産業連関というのをうまく付けているだけじゃなくて、地元の商社をおいているわけですね。三元商社と言っているんですが。商社が東京や大阪だと結局商業の付加価値というのは全部東京や大阪へ行っちゃうわけですが、そういう商業部門。卸売りだとか商社というのがきちっと製造業と結びついているんですね。観光業がまたそれに結びついているんですね。そういう産業連関をどう付けるか。

 そして、もう一つはさっき言った社会的な譲与をどううまく配分するか。社会的譲与がうまく教育や医療や福祉にまわると、豊かになっていくわけですね。

 最後にやっぱり主体です。これは今日のみなさん方のお話を期待しているんですが、どういうふうにこれから地域を担っていくかという、責任を持った主体が生まれてくると。それはNPOであってもいいわけですけれども、あるいはそれぞれの地元の商工会であってもいいと思うんですけれども、そういう主体が地元にあると。地元が発案して地元が汗を流した時に初めて外の力が生きてくるんだろうと思います。

 時間が少し過ぎてしまいましたが、私は滋賀県というのはいろんな意味で未来のある地域だと思っておりまして、特に今日大事な話をまだしていなかったんですが、これからの地球環境の問題が出まして、ようやく一般の方にも環境問題というのが分かるようになってきたんですが、グローバリゼーションといって経済が世界化、国際化していくんですけれども、同時に環境も地球というのを意識し、地球の環境をどうするかということを考えながらいかなきゃいけないわけで、それはなにも政府が守るわけじゃない。どこかがやってくれるんじゃなくて、足元からやらないと地球の環境は守れないんですね。だから、今日後からのお話で是非、足元から環境を保全しながら資源循環をして、サステイナブルな新しい開発の方式をみなさま方が生み出す手助けを私たちもしたいと思っているわけです。

 最初の話をここで終わらせていただきます。どうもご静聴ありがとうございました。

司会:先生どうもありがとうございました。非常に短い時間でまとめていただいた大変貴重な講演でございました。ありがとうございました。質問もあるかと思いますが、時間の都合で割愛をさせていただきまして、次に進ませていただきたいと思います。また、先生につきましては、第3部の方で座談会にも参加していただきますので、そちらでまたよろしくお願いしたいと思います。

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