トップ

講演記録このサイトについて

人と自然を考える会
所在地
滋賀県東近江市八日市金屋2丁目6番25号
東近江市立八日市図書館内

TEL:0748-24-1515
FAX:0748-24-1323
 
Home >> 講演記録 >> 宮本憲一 嘉田由紀子 藤井絢子


地域資源を生かした「まちづくり」事例学習(その3)

「東近江を循環・共生の大地に」

 地域が自立して生きる仕組みづくり

(2006年12月23日(土) 愛東福祉センターじゅぴあ)
講師:
宮本憲一 嘉田由紀子 藤井絢子

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28 29 30

内発的発展論と「もったいない」

藤井:さて、知事ですが、宮本先生のお話の中で、滋賀は外側から見るといろんな発展の経緯があったけれども、本当の発展は内発的発展論で言えば目的が非常に明確であること、それからどういう方法・手段でそれを達成するか、そして主体の明確であること、ということなどお話しになりましたが。嘉田さん(「嘉田さん」と言うと私がいつも「先生を離れて知事になってください」と、「さんと言わないで知事と言わなきゃいけない」と言ってましたが)、ここのマニフェストの中にも循環型社会の構築という中で、もったいないを活かす社会にしますというのを大きな柱に挙げられていますが、今の内発的発展論と循環・共生の東近江市の事例を新たに聞きながらどんなふうにお考えかちょっと聞かせてください。

嘉田:はい。本当に4月の23日以来初めてここのじゅぴあにお邪魔いたしました。あの時にお話しさせていただいたのは、まさにこの東近江の水の一滴、鈴鹿の山に落ちた水の一滴の流れが琵琶湖まで。そして東近江は合併して、合併したことはいろいろ住民自治の問題などあるかもしれないけれども、合併した強みを、水系をつなぐことでみなさんの内なる力を出していただけたらというお願いをさせていただきました。それ以降ですね。

 実は今の藤井さんの宿題、質問にはですね、私は30年間滋賀県内かなりくまなく3000自治会、地名を聞いたらパッと「ああ、あれはどの山のどの川のどの辺りで」って分かるくらいびっちりと地元を歩かせていただいて分かったこのことを、政策に活かさないと滋賀県がおかしくなるという危機を去年あたりから感じておりました。

 その一つがまさに今日宮本先生が言ってくださった外発的発展の中で、確かに滋賀県は交通の要所で、特に昭和39年に名神高速道路ができてここは八日市インターができ、彦根のインターができ、米原、それから栗東、大津とこの大動脈ができたことによって大変な産業立地もし、そして滋賀県は製造業の依存度が日本でもっとも高いというような形での発展をしてきました。

 その発展のもう一つの裏側には、ある意味で琵琶湖を下流の人たちに対していわば商売のネタにしたというところがあります。それが琵琶湖総合開発です。琵琶湖総合開発は下流に水を、特に生活用水なり工業用水を水出しをする、これが水資源開発。その代わりに地域開発にお金を入れてねというのが琵琶湖総合開発です。

 当時の昭和30年代、40年代の総合開発を考えた人たちは必死だったんです。日本中にいろいろな開発がありました。大体は水を出すだけの、都市の論理の中で一方的にある意味で収奪されてきたんですけど、この琵琶湖だけは下流が栄えるんだったら共に上流も栄えさせてということで、琵琶湖総合開発にからんで下水道を造ったり、道路を造ったり、あるいは山に木を植えたり、造林ですね。都市公園まで総合開発がらみなんです。

 昭和40年代から50年代、滋賀県内の工事の中で総合開発に関わらないものはないというくらい、いわば様々な公共事業をやり、その結果としてある意味豊かになりました。しかし、何かがおかしいと多くのみなさんが感じている。その一つが、私は琵琶湖が悲鳴を上げていると思っているんですけれども、いろいろ下水道、琵琶湖浄化の第一歩と言っていたはずなのに、本当に琵琶湖の浄化に役に立っただろうか。農業の圃場整理はどうだったろう。そして、もちろん石けん運動は様々な活動をして、住民のみなさんも関心を持った。けれども、それがしっかりと琵琶湖の環境保全に力になっているだろうか。というところで、いろいろな課題が出てまいりました。

 それから、もう一つの問題は、子どもたちが、私たちは昭和30年代、40年代に必死に右肩上がりの成長をして、当時の子どもたちが描いていた未来の絵っていうのは、高速道路があって立体交差があって、そして、こんなふうな未来をって。でも、それは今、手に入ってるんですね。その手に入った未来の暮らしの中で、改めて子どもや若者が自分たちの生きる力を失っているんじゃないんだろうかという、人の問題。

 3つ目は、そうやって実は総合開発でも国からいっぱい補助金をもらってやりましたけれども、この補助金、助成金、交付金と言われているものがいつのまにか大きく貯まって、今日宮本先生が言ってくださった借金財政。知らん間に、自分たちが知らん間にいつの間にか国も県も市町村も借金ばっかりしているという、そういう財政体質になっていました。

 これ、すべてまとめると、税金無駄遣いしてるんちがうかなあ、という。だからもったいないやん。そして、本来壊したらいけない自然がどうも壊れてしまってる。これも、本来の力を壊したらもったいない。そして、人も自分から生きる力があるのに、その生きる力が損なわれているのかもしれない、もったいない。ということで、実はこの「もったいない」という言葉は、この近江の暮らしの中から、始末して働いてきばって、もったいないと言いながら、暮らしを循環的に成り立たせてきた私たちのご先祖様、というか私たち自身もそうだったんです。そこのところを含めて、この「もったいない」という言葉を選挙の訴える第一にさせていただきました。

 それにみなさんが答えてくださった。だから、たとえば新幹線の問題、ダムの問題って言いますけど、その根っこのところはまさに循環的にこの滋賀の地で山と田んぼと琵琶湖と使いながら暮らしてきたみなさんの暮らしの哲学が今こういう時代だからこそ改めて意味があるんじゃないのかということへの共鳴をいただいたものだと思っております。

 で、そんなところで循環型社会、あるいは先ほどのもったいない政策をどう活かすかということは、またもう少し具体的に話をさせていただくということで、ともかく私自身が今県政で訴えさせていただいている「もったいない」というのはまさに内発的発展を目指しているんですということ。宮本先生がおっしゃった持続型、この地域ならではの自分たちの暮らしぶり、あるいは経済の仕組み、社会のあり方がもったいないであり、そして先ほど野間さんと池田さんと野村さんが事例で出してくださったのは、循環型社会の一つの分かりやすい事例だったというふうに思っております。

←前のページへ 次のページへ→

▲ページトップ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28 29 30