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人と自然を考える会
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滋賀県東近江市八日市金屋2丁目6番25号
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地元学でまちづくり

「ほんまに私(みんな)が主役のまちづくり」

 広島県安芸高田市”川根”の地域づくり

(2007年3月3日(土) 東近江市八日市図書館)
講師:辻駒健二 眞喜志敦

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川根振興協議会のまちづくり

 さて、その川根振興協議会ですが、一体どんなことをしているのかというお話をしたいと思います。249戸612人のまちづくりということなんですが、川根地区に限って言いますと、高齢化率が53%ということです。これは大変な数値だと思うんですが、そういう所でよく耳にするのが辻駒さんのお話なんですが、「年寄りばかりでは」とか「田舎やし」というような心の過疎が一番大敵なんだということを訴えておられます。行政に頼るのではなく、自分たちでできることは自分たちでという思いで、まず自分の郷土や生き方に誇りを持とうと訴えかけられました。

 さて、具体的な中身ですが、まずは「まるごと自然博物館」ということなんですが、こちらは廃校の中学校跡地をどんなふうに活用したらいいだろうかということで、まず計画づくりを若手メンバーに託しまして、そのメンバーが住民からいろんな聞き取り調査をいたしまして、「川根夢ロマン宣言」というものを発表されます。その一環として地域を丸ごとミュージアムにしようということで、その中核施設になるのが、中学校跡地を使った宿泊研修施設なんですね。我々も視察に行った時にこちらに泊まらせていただいたんですが、後でお写真が出てきますが、そちらの料理を仕切っていらっしゃるのが73歳のシゲコさんと、今現在はよく分からないんですが、2年前にうかがった時はシゲコさんが料理長というふうにお聞きしました。こういった非常に山間部にあります、すごく過ごしやすい所です。

 こういった感じで、厨房ではお年寄りと言うには失礼なんですけれど、本当にみなさんが自分の自由な時間を使って、その混み具合に合わせて、「じゃあ今日は私が出るわ」という形で楽しくお仕事されておられました。

 他には、ふれあいマーケットということで、これは後ほどの沖縄の共同店と共通するんですけれども、やはり地域が過疎化していく中で、農協が撤退したり、ガソリンスタンドが撤退したりということで、地域から交通手段のない子どもさんやお年寄りがすごく不自由するということで、こういうよろずやですね、あるいはガソリンスタンドの経営などもまちづくり協議会がされています。

 それは、農協の、看板は農協の看板がかかっておりますけれど、こちらをお借りして、まちづくり協議会で運営されているということです。

 他には、特産のゆずを使ってゆずジュースを年間18万本、大変なヒット商品になっているということです。後は温泉宿泊施設などもあります。このゆずジュースのゆずの皮をむいているのは、80歳のまさ子さん。ということで、これはちょうど新築になったゆず工場でありまして、当日は地元のテレビクルーが取材に来ておりました。大変美しい気持ちのいい工場でした。

 それから、町営お好み住宅の支援ということで、やはり過疎化が進んでいるということで、若者の定住促進を図らなければいけないということを取り組んでおられます。以下のような条件ですね。「義務教育のお子さんがいて、24年間住みますよ」ということ。その代わりに入居者が設計できるというんですね。家賃が3万円で20年後には我が家になるというようなことで、こちらの方もプロデュースはまちづくり自治振興協議会がされているということです。

 他にはですね、1日1円募金ということで、福祉に対する連帯の輪を広げようと。福祉を受ける者だけとか、させられるものということではなくて、支え合う福祉を目指そうということでこの1円募金を始められたということです。本日の資料にも「もやいしよう」というタイトルのついた新聞記事のいくつか協議会の活動報告がありますが、まさしく支え合うという「もやいしよう」という意識、まなざしでこういった事業をされているということですね。

 我々視察に行った者の心を打ったとりわけ大きな出来事は、この置いてあった貯金箱に書いてあった言葉なんですね。「人は歳月を重ねたから老いるのではない。夢や希望を失わないから老いるのである」というこの言葉にすごく感動したのを覚えています。

 さて、辻駒さんの語録ということでちょっとまとめさせていただきました。

 「どう生きるかという考えなしにまちづくりの話はできない。それぞれの人々が自分の幸せについて自分で考える。そこからまちづくりが始まる。そして、自分たちでできることは自分たちでやる。行政にしかできないこともあるので、それは行政に委ねる」というようなことです。後でその辺りもゆっくり辻駒さんからお聞かせいただきたいと思います。

 そして、「行政との共同とは共にまちづくりのために汗をかくことだ。そして、住民がしっかりすれば職員もしっかりする」。ここですね。住民がしっかりすれば職員もしっかりするというこういう発想。

 「行政が参画するまちづくり」。よく住民が、市民が参画するまちづくりという言い方があるんですが、行政に参画させてあげるという言い方を辻駒さんはしておられます。そういった、住民が、私たちがまちづくりの主催者なんだという意識がすごく強く感じられます。

 こちらの方は、若干細かくなって読みにくいと思いますが、川根振興協議会の組織図、プリントの方にも書かれておりますので、またご覧いただけるかと思います。

 さて、活動の経費なんですけれど、川根振興協議会につきましては、平成12年度のデータですけれども、377万円という予算規模で、うち行政の支援が57万円ということです。それで、安芸高田市全体の行政の支援ということなんですが、活動支援の助成ということで、これは定額的なもので、旧町単位で400万円。まあ、旧高宮町ですと、400万円ということですね。

 後は何か新しく事業を興すというような、特色ある事業について300万円程度をめどに適宜助成があるという状況でございます。ちょっと現在、また状況が変わっているかもしれませんが、後ほどまた辻駒さんからフォローいただけると思います。

安芸高田市誕生で全市に波及した自治振興協議会

 そして、旧高宮町長が安芸高田市の初代市長になられました。この児玉市長の公約がぶれておられませんでして、住民との対話ということを大きく打ち出されておりまして、各地域の振興協議会との懇談会を実施されております。そして、旧町の支所単位で支所別懇談会を実施されまして、全市的に自治振興協議会の設立を始められたと。

 我々が視察に行った時はまさにそういう動きがあったばかりで、その後どういった動きになっているかという辺りも今日はお話をお聞かせいただければと思っております。

 最後にまとめということで、一人一人の住民の意識、自分の幸せのことを自分で考える、そういうことを始めるとまず自分の町が住みよい町であってほしいと思うことは自然ですし、そうなると自分のこととして汗をかけるのではないかというような気持ちの流れでございます。自分とふるさとに誇りを持てるということが大事ではないかというふうに感じました。

 先ほどは西村さんからもあったんですが、とにかく町で出会うお年寄り、お年寄りだけではなくて中学生もすごくあいさつとかしてくれて元気だったんですが、特にお年寄りが元気だったというのが本当に強く印象に残っています。非常に簡単ですが、川根地区の活動についてご紹介させていただきました。それでは、辻駒健二さんにお話をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

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