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地元学でまちづくり 「ほんまに私(みんな)が主役のまちづくり」広島県安芸高田市”川根”の地域づくり (2007年3月3日(土) 東近江市八日市図書館)
定住対策で住んでみて去年、明けたから一昨年になりますかな、おいでいただいた方にお集まりいただいて、話をさせてもらいました。愚痴が出ました…「辻駒さん、こっちへ来させていただいて今何年です。確かにいい所ですよ。しかし、今こういうことに対して困っております」というようなことから入念に話してもらうわけです。 一つには仕事、働く所がないということですわな。それと、地域の条件というものも話をされます。そして、経済的なことも話されます。そして、子どもの教育論についても話をさせていただきます。小学校、中学校まではよかったですよ、と。しかし、高等学校になると、自分の家から通うことができない。都会におったら、下宿をさせんでも、自分の家から通える学校、高等学校を選ぶこともできるが、これができんと言う。そして、もう一つは、都会におる時はある程度経済が安定しとったから、学校を選べる。だが、今の家庭の事情というものから、子どもたちが「うちには銭がない」ということで、それなりの所しか選べないということであります。 そして、昨年は、うちも想定外の雪が降りまして大変だったですが、「辻駒さん、雪は降らん言うたが、よう降るじゃないか」ということでね、その愚痴も聞かせてもらいました。そして、「田舎へ住んだら、ある程度経費が安くつくと思うたが、逆ですな」、ということでね。何かというと、交通手段が、都会に住んどれば、電車なり汽車なりバスなり、そういうもので生活できるが、田舎に住むと、お母さんがまず免許を持っておらな生活できんと言う。お父さんだけでは生活できん。免許を取らせに行かせたんですよ。車も2台持たねばならんということでね。このような話も聞かせていただきました。 我々が「ええ、ええ」と言うてね、「まあ住んでみなさい」と言うてね、本当に招いた方の思いというのは、こうですね。だけど、とにかく一番みなさん方が元気印になっているのは何かというと、地域のじいちゃんばあちゃん、要は住民のみなさん方に情があるということです。わずか一本の大根、わずか一株のハクサイなり野菜なりをもろうて、この気持ちというのがありがたい。そして、子どもたちが地域のみなさん方によくかわいがってもらうと。 この前もエコミュージアム川根へ行っておりましたら、住宅の子どもを連れて、76歳ぐらいの方が一緒に風呂に入りに来る。「今日はどうしたんですかのう?」と言うたら、「なんと孫がのう」と言うてね。自分の孫じゃないんですよ。「おじいちゃん風呂へ入りに行こう」言うて呼びに来たと。「風呂は沸かしてあるんじゃが、よっしゃ行こうと言うて今来たんじゃ」と言うてから。「ぼくが来たけえのう」と言うて。「住宅におる子どもがわしらのことをじいちゃんじいちゃんと呼んでくれる。うれしいものよのう」と言うてね。そのようなことも語っておられました。 したがって、本当に若者定住対策が、一つには地域のみなさんの元気になって欲しい。来ていただいたみなさん方も喜んでいただいとるという、こういうこともさせていただいたわけなんです。 ただ単純に役場が住宅を建てりゃあええということなら、そこまでの効果というものは期待できんのじゃないかと思うんです。自分らがこういうことをしたということで、そのことが住民のみなさん方の力になっとるんじゃないかと思います。
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