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人と自然を考える会
所在地
滋賀県東近江市八日市金屋2丁目6番25号
東近江市立八日市図書館内

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FAX:0748-24-1323
 
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地元学でまちづくり

「ほんまに私(みんな)が主役のまちづくり」

 広島県安芸高田市”川根”の地域づくり

(2007年3月3日(土) 東近江市八日市図書館)
講師:辻駒健二 眞喜志敦

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まず出て行くお金をとめて、自分たちの手でやる

眞喜志:共同売店。そうですね。最初に言おうと思って忘れていたんですけど、辻駒さん、私お正月にもNHKで見てですね、こんなことをやっている人たちがいるんだなあと思って、それで今回会えたのですごくうれしかったんですけど。沖縄の共同売店のことはほとんどまだ知られていないので、みなさんすごく幸運だなあと。おそらくこんな機会は日本中でまだないと。あの写真展も沖縄の人なんか全然関心ないですよ。それをこうやってさせていただいた八日市図書館のみなさんの慧眼にも本当に感謝しておりますし。

 で、沖縄の共同店を中心にしたまちづくりということで、そもそもここに呼んでいただくきっかけになった地域自治研究センターのキタガワさんという方に、沖縄で怒られたんですけども、私はもう共同店があるような地域というのはお年寄りしかいないし、共同店がなんとか支えている。もう失うものが何もないというか、取られるものが何もないという感じがしてたんですけれども、デイサービスの医療法人が共同店の敷地の半分を借りて、デイサービスを行なおうとしてたんですね。それをキタガワさんが見て、これは自分たちがやらなきゃいけないんだと。

 私も本当に怒られてびっくりしたんですけれど、まだまだ地域に需要があるんですね。消費行動も何もなさそうだけれども、実際には介護保険という形でどんどんどんどん地域のお金が出て行っているというのに、みんな気づいていないんですね。それをなんとか止めて、入ってくるお金よりも、出て行くお金をまず止めて、それを自分たちの手でやろうと。なにかコミュニティビジネスというと新しいものをどこかからつくって、外からお金が入ってくるような意識が私もあったんですけど、そうじゃないと。出て行っているお金をまず止めることだと。それはもう究極的には自然エネルギーを使うとか、市民発電所をつくるとかいう大きな所に行ってしまうかもしれないけれど、まず今、地域から出て行っているお金は何なのか、それをまず止めることだと。

 簡単に言えば、需要があったらそれを自分たちの手でやる。価値をつくり出すというか、地域通貨みたいなものもつくったことがあるんですね、共同売店は。そういうのも苦肉の策というか、ない知恵を絞ってそういうものをつくっていったんですね。そういうことをキタガワさんにはすごく教えていただいているし、そういうのを今沖縄の人たちはほとんど気づいていなくて、おそらく共同売店はこれ以後も半分になります。もうそれはしょうがいないですね。それぐらい二極分化してます。

 さっきも言ったように、人材がいて努力している所も確かにたくさんあるんですよ。でも、来週行ったら閉まっているかもしれないという所もいっぱいあります。本当に。本の取材をしてても、「もう閉まることが決まっているから載せないでくれ」とか、あるんだけれども載っていないのもあるんですよ。悲しいんだけれども。

 少しでも自分たちでできるところから、ちっちゃなことでもいいからできることから始めていくというのを、共同売店、せっかくああいう建物があって、少なくとも電話と電気は付いているんですよね。それをなにか活かす形でやってほしいと。それはきっと農協の売店の跡地だとか、なにかそういう地域の資産みたいなものがあるんですけれども、それを活かしたまちづくりみたいなものを沖縄から情報発信して、沖縄もみなさんの先進的な取り組みを学ばせてもらってできたらなあというふうに思ってます。どうでしょう。

人まかせでなく、自分たちで集まってつくる地域

阿部:ありがとうございます。

辻駒:私はみなさん方へのメッセージということにならんと思うんですけど、誰かがやってくれるだろうじゃあものは進まんだろうと思うんですね。なかよしグループだったらそんなには悩まんでも気の合う者が酒を飲みながら、ワイワイ言うていきゃあええんですが、地域全体ということになると、本当に悩んだり、投げたいときもありますわ。

 何年か前になるんですが、おじいちゃんが80、78でね。おばちゃんが74。4歳違いですわね。その家に行って、「おじいさん、おばあちゃんが死んだらどうすりゃあ?」と言うたんですよ。まあ、いろいろ前段があるんですよ。

 そうしたら、おじいさん、腕を組んでね、考えよったんですよ。元気な人ですよ。だが、自分の身の回りができんのですね。できんのじゃない、せんのですわな。「子どもの所へ行って生活もできんことはないが、どうものう」と言うのは、嫁のことやね、娘であれば婿のことですわな。「到底気兼ねをして生活することはできん。おばあさんが死んだら老人ホームやのう」と。答えはそこへ行くんですわな。

 おばあさんに同じ質問をしました。「おじいちゃんが死んだらどうすりゃあ?」と言うたら、何をおばあさんが言うたかというとね、「辻駒さん、せいせいしますわ」。分かりますか? せいせいしますと言うのは?

 そりゃあ本音じゃないんじゃがね、だが、「わしゃあおじいちゃんとは違うよ」とね。子どもの所で生活はできる、子どもは7人おるんじゃからね。毎日変わっていってもできるし、長男の所で生活せいと言やあ、そこでもできると。「だが、わしにはまだせにゃあいけんことがありますよ」と、このような話をされましたね。「なんでしょう?」と言うたら、「この家を守らにゃあいけまあが」。浄土真宗なんですが、「仏さんを守らにゃあいけん、お墓を守らにゃあいけん。わずかな農地でも自分が守らにゃいけんじゃあないか」と言う。

 74歳でまだわしにはせにゃあけんことがあるというね、こういう話を聞かせていただいて、なるほどなあと。女性というのは本当しっかりした生き方を持っとるなあという。その点、働ける時には、一生懸命家族を思い、子育てをしてきた男なんですがね、いったんその仕事から退職すると、いらんもののように扱われることはないと思うんですが、まさに自分の人生をどうするかということも考え、地域の中でどう生きるかということをこれから考えていかないけんと思うんですよ。それには、70になってあわてるより、60の時から70を目指していくと。それには地域のみなさんが、なるほどのうと。ワイワイいいながら、一杯呑みながらね、議論していくという地域づくりがこれから求められると思うんです。

 今まではそんなところまで考えんでも、役場がしてくれる、行政がしてくれると言いよったが、みなさん、考えてみなさん。今日も馬路村のあれが展示されとるのを見させていただいてね、あっこは1200人ですよ。合併せんのですよ。年間33億か4億ぐらい。農協がね、地域の資源を活かしたことをしよるんですよ。私は、本当にそういうような地域があるわけなんですから、地域のみなさん方が昔の、合併する、今から30年40年前のね、状況というのを考えて、自分たちの地域の歴史文化というものをしっかり守っていくようなことを今せんとダメということです。合併というのをチャンスととらえてね、このことをどうするかということを、みなさん、まずじっくり、あせらずね、あわてず、あんまり肩肘はらず、まあぼちぼちとやっていきながら、うまい酒が飲める状況をつくっていきゃあいいんじゃないかと思っておりますね。以上です。

阿部:ありがとうございます。長時間に渡りましてありがとうございました。昨日『民権と憲法』という岩波新書から出ている本を読んでいましたら、自由民権運動のことで、まあ憲法ができるまでをずっと書いているんですが、その中で民衆が蜂起したり、運動したりとかいうことを書いているんですけれども、あれをちょっと見ると、結構みんないろいろ昔の人は考えてはったんやなと。人間はすごく進歩しているというのは幻想で、今最近見てると、本当に進歩してるんかなということをいろいろ思うんですね。今日まあお二人の話を聞いて、やっぱり人まかせにしてるんじゃなくて、やっぱり自分が。私もよく、「気づいた人がやらなあかん」と。特にまちづくり協議会とかに関わっておられる方は、ぜひその輪を広げていただくというのは大切なんですけれども、自分が率先してやっていただけるとありがたいなあと思います。最後にそっちからしてくれはりますよね。じゃあ、一応私の方はこれで終わらせていただいて、お二人に(拍手)。

司会:どうもありがとうございました。本当に辻駒さん、眞喜志さん、そして阿部さん、3時間という長時間、ありがとうございました。後半の方は、本日のキーワードが「役場の職員」という言い方よりも、「役場に勤めている地域に住む人」、それが大事だという話も出てきたんですけれども、私もある意味はそれは大事かなと。その関わり方が大事かなと思っております。私も役場の職員ですけれど、だから、職場で同僚と、あるいは地域でみなさんと、夢を語るというかコミュニケーションを増やしていく、そんなことをしていきたいと思いますが、まず私の場合は、家族で孤立しておりますので、家庭でのコミュニケーションも必要かなとそんなふうに思っております。

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